空き家解体の強制執行とは? 法改正のポイントや実際の事例などを解説

2023年の法改正により、行政による空き家解体の強制執行が進められていることをご存じでしょうか?空き家を所有している人は、放置を続けることで、解体の強制執行の対象となってしまう可能性があるので、注意が必要です。そこで今回は、空き家解体の強制執行について、法改正のポイントや実際の事例などを挙げながら詳しく解説していきます。

 

2023年の法改正で空き家解体の強制執行が進んでいる

空き家解体の強制執行については、2023年に行われた法改正の内容を基に、理解を深めておくのがよいでしょう。ここでは、主な3つの改正点を押さえて解説していきます。

  • 【改正点①】行政代執行による解体&代執行費用の強制徴収が可能に
  • 【改正点②】「管理不全空き家」が新設
  • 【改正点③】管理不全空き家に指定されると固定資産税が増える

 

【改正点①】行政代執行による解体&代執行費用の強制徴収が可能に

大きな改正点の1つとなるのが、行政代執行による空き家の解体と、代執行費用の強制徴収が可能になったという点です。

この法改正により、空き家を放置し続けている所有者に対し必要な勧告や命令を行ったうえで、適切な対応が見られなかった場合に、所有者の同意を得ずに行政が空き家を解体することができるようになりました。さらに、この解体工事にかかった費用についても、強制的に所有者から徴収することも認められることになっています。
そのため、空き家の所有者は行政からの勧告や命令を無視して放置し続けることができなくなったということです。

 

【改正点②】「管理不全空き家」が新設

2023年の法改正では、新たに「管理不全空き家」という項目が設けられました。法改正前までは、「特定空き家」という項目のみが設けられており、建物の劣化状況が著しく悪く、倒壊の危険性や周辺への悪影響が特に大きいとされる空き家が指定されていました。この「特定空き家」に指定される前段階の空き家を、「管理不全空き家」として指定できるようになったということです。

このまま放置状態が続くことで「特定空き家」になってしまうことが予想される空き家を「管理不全空き家」に指定することで、必要な対応をより早い段階で求めることができるようになっています。

管理不全空き家についてさらに詳しく知っておく

 

【改正点③】管理不全空き家に指定されると固定資産税が増える

法改正により、実際に管理不全空き家に指定されると、毎年課税される固定資産税の納付額が増える可能性があるので、注意が必要となります。これは、管理不全空き家に指定されると、通常なら適用対象となっていたはずの特例などが利用できなくなってしまうからです。

空き家の所有者は、一定の条件を満たしていると固定資産税の減免措置が受けられるケースが多くなっていますが、管理不全空き家に指定された時点でこのような減免措置の対象外となってしまうので、注意しなければなりません。

 

空き家解体の強制執行例

空き家解体の強制執行は、既に実際に複数行われています。ここでは、実際に行われた強制執行の事例を2つ挙げて解説するので、詳しく見ていきましょう。

 

【東京都】行政介入で40件処分

東京都では、23区内で40件分の空き家に対して、行政介入の処分が行われたという事例があります。法改正により、放置された空き家を解体するための強制執行が認められたことで、このように実際に処分に踏み切る動きが進んでいるということです。しかし、東京23区内にある空き家の数は非常に多く、最も多いとされる世田谷区では5万件を超えるといわれています。そのため、40件の処分が実行されたという事例は、増え続ける空き家問題の解決へ向けたわずかな一歩に過ぎないともいえるかもしれません。

 

【千葉県】所有者が長年撤去に応じず「特定空き家」を取り壊しの強制執行

千葉県市原市では、長年にわたって放置され続けていた空き家が「特定空き家」に指定され、所有者が勧告や命令に応じないままの状態となっていたことから、取り壊しの強制執行が行われた事例があります。周辺住民によると、この空き家は劣化の状態が酷く、台風が起きた際にはトタン板が吹き飛び危険な状況であったとのことでした。実際、建物の床や屋根はほとんど崩れており、外壁も大きく傾いている状態だったとのことです。強制執行の当日は、市の職員立ち合いのもと、拡声器で解体を宣言したうえで解体作業が執り行われています。

 

そもそも「特定空き家」になる基準とは?

空き家解体の強制執行は、「特定空き家」に指定されている家屋が対象となりますが、そもそもどのような基準によって「特定空き家」に指定されるのでしょうか?「特定空き家」になる基準は、以下の通り主に4つの項目があります。

  • 倒壊などの危険性が著しく高い状態であること
  • 衛生上の問題により有害となる恐れが著しく高い状態であること
  • 適切な管理が行われずに周囲の景観を著しく損なっていること
  • 周辺住民の生活環境を守るために放置し続けるのが不適切であるといえること

これら4つのポイントが、「特定空き家」になる基準として定められています。なお、これらの「特定空き家」に指定される基準は、建物自体のみが対象とされているのではなく、塀や門扉、植栽、看板など、敷地内のすべてが対象となります。そのため、空き家を所有している人は、建物そのものはもちろんのこと、敷地全体の状態をよく見て、「特定空き家」になる基準と照らし合わせて確認したほうがよいでしょう。

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【強制執行だけじゃない】空き家を放置するリスク

空き家を放置すると、強制執行されてしまうということ以外にも、さまざまなリスクが生じます。たとえば以下のようなリスクが考えられます。

  • 放火など犯罪に巻き込まれる可能性
  • 倒壊など事故が起きた場合は損害賠償責任を負うことも
  • 傷んで価値が下がり続ける

 

放火など犯罪に巻き込まれる可能性

空き家を放置しておくと、気づかないうちに放火などの犯罪に巻き込まれてしまう可能性があります。実際、放置状態にある空き家で放火事件が起こった事例は少なくありません。放火が起こってしまうと、その後の処理を所有者が行わなければならないだけでなく、周辺住民にも被害が及んでしまう危険性もあります。そのため、このような事態を防ぐためにも、放置を続けることは避けるべきといえるでしょう。

 

倒壊など事故が起きた場合は損害賠償責任を負うことも

放置している空き家の老朽化が進み、倒壊などの事故が起きてしまった場合、空き家を放置した所有者が損害賠償責任を負わなければならない可能性があります。例えば、放置状態にある空き家が倒壊し、周辺住民や通行人などに被害を与えてしまった場合、その責任は空き家を管理すべき立場にある所有者へ追及されるのが通常です。つまり、空き家を単に所有しているだけで損害賠償責任のリスクが生じているということを理解しておいたほうがよいでしょう。

 

傷んで価値が下がり続ける

空き家を放置し続けると、時間の経過とともに建物はどんどん傷んでいき、不動産としての価値が下がり続けてしまうことになります。価値が下がり続ければ、将来売却しようとしたときに、極端に安い価格でしか売ることができなくなってしまう可能性が高くなります。売却価格が安くなってしまうということは、所有者が大きく損することになるため、いずれ売却するなら放置せずに早めに適切な対応をすべきといえるでしょう。

 

不要な空き家は早めの活用がおすすめ

空き家は、放置を続けているといずれ特定空き家に指定されたり、行政による解体の強制執行が行われてしまったりする可能性があります。そのため、不要な空き家を所有している場合は、価値が下がってしまう前に早めの活用を検討することが大切です。空き家を活用するには、さまざまな方法があります。例えば、次のような方法が挙げられます。

  • 建物付きで売却する
  • 解体し更地にしてから売却する
  • 建物を活用して賃貸経営する
  • 解体して土地活用する
  • トランクルームやコワーキングスペースとして活用する
  • 建物で民泊経営を始める
  • リフォームして自分で住む

このように、空き家の活用方法は非常にたくさんあります。上手く活用することができれば、収益を上げることもできるはずです。ただし、いずれの方法も、空き家を活用するには少なからずリスクが伴うので、注意しておく必要があります。

活用を始める際に費用がかかったり、計画通りに運用するのが難しく結果的に赤字となってしまったりするケースもあるので、予め理解しておかなければなりません。それぞれの活用方法でのリスクを理解したうえで、自分にあった方法を見つけることが大切です。

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