不動産の相続でかかる税金とは? 計算方法や節税対策なども詳しく解説

不動産を相続すると、課税される税金がいくつかあります。しかし、初めて不動産を相続する場合、どのような税金がかかるのか詳しく把握していないという方も多いのではないでしょうか?そこで今回は、不動産の相続でかかる税金について解説していきます。相続税の計算方法や節税対策についても解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

 

不動産の相続時にかかる税金

不動産の相続時にかかる税金は、主に以下の3つです。相続する際にかかる税金と、相続後の所有時にかかる税金があるので、それぞれ詳しく見ていきましょう。

  • 相続税
  • 登録免許税
  • 所有時には固定資産税や都市計画税がかかる

 

相続税

被相続人から不動産などの遺産を相続すると、相続税の課税対象となります。ただし、相続税を計算するときには、基礎控除として一定の額を課税価格から差し引くことのできる制度があるため、実際にはまったく相続税がかからないといったケースもあります。

相続税の詳しい計算方法については後ほど解説しますが、課税価格よりも控除の金額が上回れば、相続税は課税されないという仕組みです。相続税の課税価格は、相続する不動産の価格に応じて決まるので、相続不動産の数が多かったり、面積が広い土地や大きな建物のように価値が高い不動産を相続したりする場合は、相続税が課税される可能性も高まります。

なお、相続税が課税される場合、期限までに申告及び納付を行わなければならないので、注意が必要です。

 

登録免許税

不動産を相続し、登記の名義を被相続人から相続人へと変更する際には、登録免許税がかかります。相続によって登記の名義変更を行うことを相続登記といい、2024年4月からは相続登記が義務付けられることが決まっています。登録免許税の額は、相続する不動産の固定資産税評価額に0.4%の税率をかけて算出されるので、事前に自分で税額を計算しておくとよいでしょう。

なお、相続する不動産の固定資産税評価額は、不動産の所有者の元に毎年届く固定資産税課税明細によって確認することが可能です。

登録免許税についてさらに詳しく見る

 

所有時には固定資産税や都市計画税がかかる

相続によって不動産を所有することになると、固定資産税および都市計画税が毎年継続してかかり続けます。固定資産税や都市計画税は、不動産の所有者に対して毎年課税される税金なので、覚えておきましょう。
具体的には、その年の1月1日の時点で不動産を所有していた人に対して課税されるものとなっています。そのため、1年の途中で不動産を相続した場合は、その翌年から課税が始まることになるでしょう。

なお、固定資産税や都市計画税の支払いは、市区町村から送られてくる納税通知書によって行います。納税通知書が届く時期はだいたい4~6月頃となっているので、あらかじめ把握しておいたほうがよいでしょう。

 

相続税の計算方法

不動産を相続した際の相続税の計算方法を知っておけば、相続税をいくら支払えばよいのかを自分で計算することができます。ここでは、相続税の計算方法について、詳しく見ていきましょう。

 

相続税の計算式

まずは、相続税の計算式から解説しておきましょう。相続税の計算は、次の計算式を用いて行えます。

  1. 課税遺産総額×相続割合×税率-控除額=算出税額
  2. 相続人全員分の算出税額を合算=相続税総額
  3. 相続税総額×按分割合=各相続人の相続税額

上記の計算式によって相続税を算出できますが、この場合、税率と控除額も把握しておかなければなりません。税率及び控除額は、相続分の金額に応じて決められているため、国税庁のHPで公開されている 速算表を参考にするとよいでしょう。

 

相続税の計算手順

ここでは、実際に自分で相続税を計算する場合の手順について、解説していきます。
例として、遺産総額が1億円、相続人は配偶者と子供2人、按分割合は配偶者が5割、子供2人がそれぞれ2.5割というケースで考えていきましょう。

なお、この場合の基礎控除額は4,800万円なので、課税遺産総額は1億-4,800万円=5,200万円となります。これより、相続税の計算式にあてはめると、次のような手順になります。

【1】

  • 配偶者:5,200万円×相続割合1/2×税率15%-控除額50万円=340万円(算出税額)
  • 子:5,200万円×相続割合1/4×税率15%-控除額50万円=145万円(算出税額)

【2】

  • 340万円+145万円+145万円=630万円(相続税総額)

【3】

  • 配偶者:630万円×按分割合0.5=315万円(相続税額)
  • 子:630万円×按分割合0.25=157万5,000円(相続税額)

このような手順により、相続人それぞれに課税される相続税の額を算出できます。ただし、配偶者の相続税に関しては、相続税額の軽減措置により、取得する相続財産が法定相続分以下もしくは1億6,000万円以下の場合非課税になるという制度があります。そのため、今回のケースであれば、配偶者は結果として相続税がかかりません。

また、ここまでの相続税の計算手順を見ても分かるように、相続税の計算はやや複雑であり、自分で正しく算出するのは簡単とはいえないでしょう。そのため、相続税額を計算するためのシミュレーションツールなども積極的に活用してみるとよいでしょう。

 

相続した不動産の税金対策例

ここでは、不動産を相続した際にかかる税負担を軽くするために活用できる、税金対策例について解説します。次の2つの対策例を挙げて解説していくので、それぞれ詳しく見ていきましょう。

  • 「小規模宅地の特例」の活用
  • 「配偶者の税額」の軽減の活用

 

「小規模宅地の特例」の活用

相続した土地が一定の条件を満たす場合、「小規模宅地の特例」が活用できる可能性があります。例えば、相続した土地が居住用として使われていた土地であれば、330㎡を限度に、課税価格が80%減額されます。
また、居住用ではなく事業用であれば400㎡を限度に80%の減額、貸付事業用であれば200㎡を限度に50%の減額を受けられるので、該当する場合は覚えておきましょう。

なお、この小規模宅地の特例を利用するためには、一定の条件をクリアしていなければなりませんが、相続人が配偶者の場合に限り適用条件は設けられていません。配偶者以外が相続人の場合は、自らが相続後に居住していたことや、相続税の申告期限までの間所有し続けていたことなど、複数の条件を満たす必要があります。

 

「配偶者の税額」の軽減の活用

不動産を相続したのが配偶者である場合、「配偶者の税額の軽減」が活用できます。この制度は、相続人が配偶者である場合に限り、取得した相続財産の額が法定相続分以下もしくは1億6,000万円以下であれば、相続税が全額非課税になるというものです。一般的によくある相続において、この条件を満たしているケースは非常に多いため、見落とすことのないよう確認しておきましょう。

なお、配偶者の税額の軽減を受けるためには、申告書を用意し提出しなければなりません。申告せずに自動的に軽減されるものではないので、注意しておきましょう。

 

相続した不動産はどうする?

不動産を相続すると、その後の使い道や活用方法で悩むケースも少なくありません。ここでは、相続した不動産の活用方法を以下の通り3つ挙げ、詳しく解説していきます。

  • 売却する
  • 解体して土地活用
  • 賃貸経営などで活用

 

売却する

相続により取得した不動産を手放すことに抵抗がない場合は、売却するという方法がよいかもしれません。相続不動産を売却すれば、まとまった金額の売却金を得ることができます。売却することによって売却金が手元に入れば、それを使って別の新しい不動産を購入することもできるでしょう。

ただし、売却時に得た売却金には、所得税がかかってしまうという点も、きちんと理解しておく必要があります。また、不動産の状態や立地条件などによっては、なかなか売却がスムーズに決まらない可能性もあるので、注意が必要です。

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解体して土地活用

土地と建物を相続し、建物が古くなっている場合は、解体して土地活用を始めるという方法もあります。例えば、建物を解体して更地にしたうえで、月極駐車場やコインパーキングなどとして活用するケースは実際によくあります。

土地として活用することで、継続的な収益を上げられる可能性があるので、メリットを強く感じられるかもしれません。ただし、立地によっては需要が少なく、収益が思ったように上げられないといったリスクもあるので、事前の調査も大切です。

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賃貸経営などで活用

相続した不動産を残し所有したまま活用したい場合は、賃貸経営などによる活用を始めるという方法もあります。相続した不動産を綺麗にリフォームやリノベーションし、入居者を募集して賃貸すれば、毎月家賃収入を得ることが可能です。毎月安定して家賃収入が得られれば、非常に有効的な活用といえるでしょう。

ただし、リフォームやリノベーションにはある程度の費用がかかり、さらに空室状態が続いてしまえば赤字になってしまうリスクも伴うので、あらかじめ理解しておく必要があります。

 

相続した不動産を放置するリスク

不動産を相続したものの、手続きなどが面倒でついつい放置してしまうケースもあるかもしれません。しかし、相続した不動産を放置することにはさまざまなリスクがあるため、放置するのは避けるべきといえるでしょう。

例えば、必要な相続手続きを行わずに放置し続ければ、将来売却しようと思ったときに登記簿上での名義が確認できず、売却できないといった状況になってしまうかもしれません。
また、同時に相続した相続人にさらに新たな相続が発生し、遺産分割などが複雑化してしまう可能性も考えられます。このように、放置しなければ避けられたはずのトラブルが発生してしまう恐れがあるため、不動産を相続した際は必ず正しく対応するようにしましょう。

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