相続の登記申請書の書き方とは? 各項目ごとに正しい書き方を詳しく解説
相続すると登記の申請が必要となりますが、その際に記入しなければならない登記申請書の書き方で苦戦するケースは少なくありません。初めて相続した人にとってすべてを正しく記入するのは難しく感じるでしょう。そこで今回は、相続登記申請書の書き方やどこでもらえるかなどについて、詳しく解説していきます。
相続登記申請書とは
相続登記申請書とは、相続により不動産を取得した際に、登記簿上の名義を変更するための手続きで必要となる書類です。相続登記申請書の提出先は、管轄となる法務局となります。
相続登記申請書を提出しなければ、登記簿上の名義を変更することができず、亡くなった所有者の名義のままとなってしまうため、相続した人は登記申請の手続きを怠らないようにしなければなりません。相続の登記申請を怠ると、後々大きなトラブルに発展してしまうリスクが高まるということを、理解しておきましょう。
相続登記申請書はどこでもらえる?
初めて相続した人は、そもそも相続登記申請書をどこで取得すればよいか分からず、戸惑ってしまうケースも多いかもしれません。
実際、相続登記申請書には特定の書式はなく、必要な内容が記載されていればどのようなものでも認められます。しかし、すべてをゼロから作成するのは難しいため、法務局のサイトでは、申請書の様式及び記入例がダウンロードできるようになっています。
これをもとに相続登記申請書を作成していくのが、最もスムーズな方法といえるでしょう。
相続登記申請書の項目と書き方
ここでは、相続登記申請書の書き方について、以下の9つの項目ごとに分かりやすく解説していきます。
- 登記の目的
- 原因
- 相続人
- 添付情報
- 登記識別情報の通知希望の有無
- 管轄法務局・申請日
- 課税価格と登録免許税
- 不動産の表示
- 収入印紙
項目ごとに詳しい書き方を見ていきましょう。
1.登記の目的
登記申請書の冒頭部分には、まず登記の目的を書くのが一般的です。
ここで注意すべきなのが、相続した不動産が単独所有であったか共有持分であったかという点です。単独所有の場合は、「所有権移転」と記載しましょう。これは、相続人が自分1人の場合でも、複数人で相続する場合でも同じになります。
一方、被相続人がほかの人と共に所有していた不動産の共有持分を相続する場合は、「(被相続人の名前)持分全部移転」と記載します。相続する不動産がどのようなものであったかによって書き方が変わるので、注意しましょう。
2.原因
登記申請書には、登記の原因も記載する必要があります。相続の場合は、被相続人が死亡した日にちを記載し、その後ろに「相続」と記載しましょう。
被相続人が死亡した日にちは、死亡診断書または死体検案書の記載内容と相違がないように書く必要があります。なお、死亡診断書は、役所へ提出すると返却されないため、提出前にコピーをとっておいたほうがよいでしょう。
3.相続人
相続人の情報についても、記載が必要です。複数人で相続する場合は、相続人全員分について記載しましょう。
必要な内容は、相続人の氏名と住所、連絡先電話番号、共有持分です。
共有持分は、複数人で相続する場合だけでなく、被相続人がほかの人と共に所有していた不動産の共有持分を単独で相続する場合も、記載することになっているので、注意しましょう。また、記載した名前の隣には、印鑑を押すのも忘れないようにしましょう。
4.添付情報
登記申請書では、添付情報の記載も必要とされています。添付情報とは、相続登記の申請時に、登記申請書と併せて提出する添付書類のことです。
主に、登記原因証明情報と住所証明情報の2つとなるケースが一般的でしょう。登記原因証明情報とは、被相続人及び相続人の戸籍謄本や遺産分割協議書など、登記の原因を明確に示すための書類を指します。
また、住所証明情報は、住民票などの書類となります。
5.登記識別情報の通知希望の有無
相続登記が完了すると、登記識別情報の通知を受けられます。登記識別情報とは、以前は登記済権利証と呼ばれていたもので、登記申請によって不動産の所有者となったことを証明するものです。
相続後、対象の不動産について何らかの取引を行う際に必要となる極めて重要な書類なので、特別な理由がなければ通知を希望する旨を記載しましょう。
なお、登記識別情報の通知を実際に受けた際は、紛失することのないよう、大切に保管することが非常に重要です。
6.管轄法務局・申請日
相続した不動産の管轄法務局と、登記の申請日も記載します。
なお、管轄法務局は、被相続人や相続人の住所ではなく、相続の対象である不動産の所在地を管轄する法務局となるので、間違えないように注意しましょう。
管轄法務局が分からないときは、法務局のサイトで確認することが可能です。
7.課税価格と登録免許税
相続した不動産の課税価格と、相続登記における登録免許税の記載も必要です。課税価格とは、固定資産評価額のことです。登記申請書に記載する際は、1,000円未満を切り捨てた額となるので、注意しましょう。正式な金額は、固定資産評価証明書で確認できます。
一方、登録免許税とは、登記の申請手続きを行う際に課税される税金のことで、計算式をもとに自分で算出しなければなりません。登録免許税は、課税価格×税率0.4%という式で算出できます。こちらは、100円未満を切り捨てた額で記載しましょう。
8.不動産の表示
相続の対象となる不動産の表示についても、登記申請書の記載項目となっています。
不動産の表示とは、不動産を特定するための具体的な情報のことで、登記事項証明書の中に記載されている内容を指します。
土地の場合は、不動産番号、所在、地番、地目、地積について記載し、建物の場合は、家屋番号、種類、構造、床面積などの項目を記載しましょう。
9.収入印紙
実際に書く内容はここまでの項目ですべて揃うので、最後に登録免許税の分の収入印紙を貼付しましょう。
収入印紙は、コンビニや郵便局などで購入しても問題ありませんが、枚数がかなり多くなるケースが一般的なので、法務局にて購入するのが最もおすすめです。なお、貼り付けた印紙への押印は不要となっています。
相続登記申請書の綴じ方
登記申請書の記入がすべて完了したら、最後にほかの必要書類とまとめて1つに綴じます。まず、書類を重ねる順番としては、登記申請書が1番上になるようにするのがポイントです。そのほかの書類については、以下のような順番で重ねていくとよいでしょう。
- 登記申請書
- 収入印紙貼付台紙
- 相続登記委任状(代理申請の場合)
- 相続関係説明図
- 遺産分割協議書の写し
- 印鑑証明書の写し
- 住民票の除票(被相続人)の写し
- 住民票(相続人)の写し
- 固定資産評価証明書の写し
- 戸籍謄本(被相続人及び相続人)原本
- 遺産分割協議書原本
- 印鑑証明書原本
- 住民票の除票(被相続人)原本
- 住民票(相続人)原本
- 固定資産評価証明書原本
必要書類の中には、申請後に原本の返還を受けられるものもあるため、提出用の写しと返還用の原本の両方を用意することになります。書類は、原本をそのまま提出するもの、提出用の写し、返還用の原本の3つに分けてホチキス留めして綴じます。
なお、提出用の写しは、各書類に契印のうえ「原本と相違ありません」と記載するのも忘れないようにしましょう。
相続登記申請書の申請方法
相続登記申請書が用意できたら、実際に申請手続きを行います。相続登記申請書の申請方法には以下のようなものがあります。自分にあった方法で申請手続きを行いましょう。
- 窓口
- 郵送
- インターネット
窓口
最も確実な方法ともいえるのが、実際に法務局の窓口を訪れる方法です。法務局の中の「不動産登記」と書かれている窓口にて申請手続きができます。実際に窓口に行くことで、万が一用意した書類に不備などがあっても、その場で修正することができるので、何度もやり直す手間を省ける可能性が高いでしょう。
郵送
管轄の法務局が遠方であったり、忙しくてなかなか日中に時間が取れなかったりする場合は、郵送によって申請手続きをすることも可能です。この場合は、用意した書類をまとめて封筒に入れて、赤字で「不動産登記申請書在中」と記載し、書留で郵送しましょう。
ただし、郵送の場合、書類に不備や修正点があると差し戻されてしまうことになるので、注意が必要です。
インターネット
相続登記申請は、インターネットで行うことも可能となっています。
ただし、インターネットによるオンライン申請は難易度が高く、司法書士などの専門家が主に使う方法といえます。そのため、インターネットによる申請手続きを希望する場合は、個人で行うのではなく、専門家に依頼するのがよいでしょう。
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相続登記申請書の書き方を理解し正しく申請しよう
相続における登記申請書の作成は、初めての人にとって簡単なものではなく、書き方で戸惑ってしまうケースも珍しくありません。今回は、登記申請書の書き方について、項目別で詳しく解説してきたので、実際に書類を作成する際の参考にしてみてください。
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