親の不動産を相続する際の手順は? 名義変更の必要性や注意点なども解説
親の不動産を子が相続するといったケースはよくありますが、その際の詳しい相続手順を理解している人は少ないのではないでしょうか?今回は、親の不動産を相続する際の手順について、詳しく解説します。名義変更の必要性や注意すべきポイントについても解説するので、親が不動産を所有している人はぜひ参考にしてみてください。
【生前贈与】親の不動産や土地を相続する手順
まずは、親が生きているうちに不動産の名義を子へ変更する、生前贈与の手順から解説していきます。
- STEP1:贈与対象者の決定
- STEP2:贈与契約書の作成
- STEP3:名義変更
- STEP4:贈与税・不動産取得税の支払い
STEP1:贈与対象者の決定
不動産の生前贈与を行う場合、まずは贈与対象者を決定させる必要があります。贈与対象者とは、不動産を誰に贈与するのかということです。生前贈与は、親から子への一方的な意思のみでは行うことができません。贈与対象者となる子の意思も合致していることが不可欠です。そのため、まずは親と子の間でお互いの意思を確認し、贈与対象者を明確に決定することから始めましょう。
なお、贈与対象者の決定においては、課税される税金などについてもきちんと把握したうえで、慎重に行うことが大切です。
STEP2:贈与契約書の作成
贈与対象者が決定し、生前贈与を行うことが確定したら、贈与契約書を作成しましょう。実際のところ、生前贈与は口頭による約束のみでも法律的に有効ではあります。しかし、後のトラブルを防ぐためにも、贈与契約書は作成しておいたほうがよいでしょう。
贈与契約書には、お互いの氏名や住所、合意した日付、贈与する不動産に関する詳細情報などを記載し、内容を双方で確認したうえで署名と捺印を行います。なお、贈与契約書はお互いに1通ずつ保管できるようにしておきましょう。
STEP3:名義変更
贈与契約書の用意が整ったら、実際に不動産の名義変更を行います。不動産の名義は、法務局で扱われている登記によって管理されているため、法務局にて手続きを行うことが必要です。直接法務局に足を運んで必要書類を提出する方法のほかに、法務局宛てに必要書類を郵送する方法や、インターネットで申請する方法もあります。登記の名義変更における主な必要書類は、次の通りです。
- 贈与契約書
- 登記識別情報(権利証)
- 親の印鑑証明書
- 子の住民票(コピー可)
なお、登記の名義変更を行うには、登録免許税の支払いが必要となるので、必要な額を収入印紙で用意することも忘れないようにしましょう。
STEP4:贈与税・不動産取得税の支払い
無事に不動産の名義変更手続きが済んだら、最後に贈与税と不動産取得税を支払いましょう。贈与税は、110万円の基礎控除が適用されるため、110万円を超えた部分について課税されることになります。親から子への生前贈与では、直系尊属から贈与された特例税率を用いて税額を計算することが可能です。
不動産取得税は、土地の場合は課税標準額×税率3%、建物の場合は固定資産税評価額×税率3%という計算式によって算出できます。それぞれの税額を事前に計算して把握しておき、余裕を持って支払いの準備を整えておくとよいでしょう。
【親が亡くなった後】不動産や土地を相続する手順
ここでは、親が亡くなった後に不動産を相続する場合ついて、手続きなどの手順を解説していきます。生前贈与をしていなければこのケースに該当するはずなので、手順を確認しておきましょう。
- STEP1:遺言書の確認
- STEP2:相続人と相続財産を調査
- STEP3:遺産分割協議を行う
- STEP4:相続登記申請
- STEP5:相続税の納付
STEP1:遺言書の確認
親が亡くなってから不動産を相続する際は、まず遺言書の有無を確認することから始めましょう。遺言書があるかないかによって、不動産を相続すべき人が変わってくる可能性があります。
遺言書があった場合は、家庭裁判所にて検認の手続きを受ける必要があるので、遺言書を見つけても自己判断ですぐに開封するのは避けるようにしましょう。家庭裁判所にて遺言書の検認を受け、有効性が確認できたら、遺言書の内容に従って相続を進めることになります。なお、遺言書がなかった場合は、法定相続人により遺産分割を協議することになるでしょう。
STEP2:相続人と相続財産を調査
遺言書の有無を確認後、相続人及び相続財産の調査を進めましょう。誰が相続人となるのかを正しく把握するためには、親の戸籍謄本を元に調査する必要があります。これにより、法定相続人が誰であるかをきちんと確認しておきましょう。
また、すべての相続財産を正確に把握することも必要です。相続財産の中には、事前に把握していた不動産のほかにも、預貯金や借金などが含まれている可能性があります。そのため、相続財産を確実に調査しておくことは必要不可欠といえるでしょう。
STEP3:遺産分割協議を行う
相続人及び相続財産が確定できたら、相続人全員で遺産分割協議を行います。相続人が複数いる場合、遺産分割協議は必ず全員が集まって行わなければなりません。1人でも欠けていれば、協議そのものが無効となってしまうので注意しましょう。
遺産分割協議を行い、詳しい分割方法が決定したら、相続人全員で遺産分割協議書を作成して署名捺印します。捺印は必ず実印にて行い、全員分の印鑑証明書も揃える必要があります。これは、実際に不動産を相続しない人の分も含めて必要なので、不足がないよう用意しましょう。
STEP4:相続登記申請
遺産分割協議が済んだら、法務局に相続登記の申請を行います。相続登記を申請するためには、用意しなければならない書類が数多くあるため、1つずつ確認しながら揃えていくことが大切です。相続登記申請で必要となる主な書類は、次の通りです。
- 被相続人の除籍謄本
- 被相続人の住民票除票
- 遺産分割協議書
- 相続人全員分の戸籍謄本
- 相続人全員分の印鑑証明書
- 登記事項証明書
- 固定資産評価証明書
また、生前贈与の場合と同様、相続登記を行う際にも、登録免許税の支払いが必要となるため、あらかじめ用意しておくとよいでしょう。
STEP5:相続税の納付
相続登記の手続きを終えたら、最後に相続税の申告を行い、必要な税額を納付します。ただし、なかには控除などを利用することにより相続税がまったくかからないといったケースもあるので、実際に相続税がいくら課税されるのかをよく確認することが大切です。
相続税の申告及び納付は、相続の開始を認識したときから10ヶ月以内に行わなければなりません。この期限を超過してしまうと、延滞税などのペナルティの対象となってしまう可能性があるので、注意しましょう。
親の土地の相続では名義変更が必要?
親の土地を子が相続するといったケースは比較的よくありますが、その場合に名義変更は必要なのでしょうか?4つのポイントを押さえながら解説していきます。
そもそも名義変更とは
名義変更とは、法務局にて管理されている登記簿上の不動産名義を変更することをいいます。登記簿では、土地や建物などの不動産について、所有者の氏名や住所などが管理されています。相続に限らず、売買や贈与などによって不動産の所有者が変わったときは、登記に記載されている所有者の情報も変更しなければならないことになっています。
名義変更は、該当する不動産が所在する地域を管轄する法務局にて行うことができます。全国どこの法務局でも行えるものではないので、正しく理解しておきましょう。
2024年4月名義変更が義務化
不動産の名義変更は長年にわたって任意とされてきましたが、法改正によって、2024年4月より、名義変更が義務化されることになりました。これにより、法改正後においては、相続発生の事実を認識しながら名義変更を怠った場合、10万円以下の過料の対象となってしまうので注意が必要です。
名義変更の義務化は、不動産の名義を登記簿上で常に正しく管理することを目的としています。そのため、親からの相続などによって不動産を所有することになった際は、必ず忘れずに名義変更手続きを行うようにしましょう。
名義変更をしないとどうなる?
親の不動産を相続したにもかかわらず、名義変更をしなかった場合、10万円以下の過料を科せられる可能性があります。ただし、問題となるのはそれだけではありません。相続後に名義変更をしないままにしておくことで、登記簿上の所有者は親のままとなってしまいます。それにより、将来不動産を売却しようとするとき、自分が所有者であることを証明できず、売却ができなくなってしまうかもしれません。
また、共に相続したほかの相続人が亡くなり新たな相続が発生したとき、遺産分割などの手続きが非常に複雑化してしまうリスクもあるので、注意が必要です。
名義変更にかかる費用
親の不動産を相続する場合、名義変更にかかる費用についても把握しておいた方がよいでしょう。不動産の名義変更にかかる費用は、主に3つあります。
1つは、必要書類の取得費用です。名義変更では、必要書類の種類が非常に多く、それぞれ取得費用が数百円程度かかります。相続人の数が多かったり、相続する不動産の数が多かったりすると、その分書類の取得費用も高くなることが考えられるでしょう。
2つ目は、登録免許税です。登録免許税とは、登記を変更する際に課税される税金です。税額は、名義変更する不動産の評価額に応じて決まるので、予め金額を計算しておくとよいでしょう。
3つ目は、司法書士報酬です。これは、名義変更の手続きを司法書士に依頼する場合にのみかかります。金額は、10万円前後が相場といえるでしょう。
親の土地を相続する際の注意点
ここでは、親の土地を相続する際に押さえておくべき注意点について、解説していきます。
- 誰が相続人になるかあらかじめ把握しておく
- 相続人全員で遺産分割協議を行う
- 遺産分割協議書や名義変更は早めに対応する
- 相続税の申告は10か月以内に
誰が相続人になるかあらかじめ把握しておく
親の土地を相続する場合、誰が相続人になるかを必ず予め把握しておきましょう。例えば、配偶者にあたる人物が存在しているかどうかによって、相続人の範囲も変わってきます。予め相続人になる人が誰なのかを正しく把握しておかなければ、相続するつもりでいた人が実際には相続人とはならなかったり、反対に相続する気がなかった人が実際には相続人であったりする状況になりかねません。親族の間で大きなトラブルが起こってしまうのを避けるためにも、相続人となる人を明確にしておくことは大切です。
相続人全員で遺産分割協議を行う
遺産分割協議が必要となった場合は、必ず相続人全員で協議を行う必要があります。実際には、複数いる相続人のうち、関係性が疎遠になっている人がいたり、遠方に住んでいてなかなか会う機会を作るのが難しかったりするケースも多いかもしれません。しかし、それでも遺産分割協議は相続人全員で行わなければ無効となってしまうので、注意しましょう。1人でも相続人が欠けた状態で協議を進めては、後に大きなトラブルが発生してしまう可能性があります。どんな状況であっても、必ず全員で行う必要があるということを、理解しておきましょう。
遺産分割協議書や名義変更は早めに対応する
親の不動産を相続することになった際は、遺産分割協議や名義変更手続きなどの対応を早めに行うように心がけましょう。特に相続人の数が多い場合は、遺産分割協議が長引く可能性が高くなります。また、相続人全員分の必要書類を集めるのにも、思った以上に手間や時間がかかるケースが多くなっています。そのため、早めの対応を心がけていかなければ、あっという間に申請期限を迎えてしまう可能性もあります。
相続税の申告は10か月以内に
親の不動産を相続し、相続税の課税対象となった場合は、必ず10ヶ月以内に申告する必要があります。また、10ヶ月以内に行うべきなのは、相続税の申告だけでなく、納付も同様の期限となっているため、余裕を持って手続きを行うようにしましょう。
なお、親からの相続財産が基礎控除の額を下回る場合は、相続税が非課税となるため、申告する必要がありません。ただし、自己判断で非課税だと確定するのはリスクがあるので、一度税理士などの専門家に確認をとっておいたほうがよいでしょう。
相続した家を放置するリスク
家を相続したあと、そのまま使い道がなく放置状態となってしまうケースも少なくありません。しかし、相続した家を放置してしまうと、さまざまなリスクが生じることになるので、注意が必要です。
例えば、放置していることで、気づかないうちに建物の劣化がどんどん進み、破損や倒壊が起こってしまうリスクが高まります。
また、放置状態が続いている空き家が、不法侵入や放火などの犯罪に巻き込まれたという事例も実際に多く起こっています。さらに、特定空き家として行政から指定されてしまうと、固定資産税や都市計画税の負担が3倍から6倍に膨れ上がってしまう可能性もあるので、注意したほうがよいでしょう。
相続した不要な不動産は「フリーノベーション」で"ゼロ円"活用!
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親から不動産を相続したときに取るべき行動を把握しておこう
親が不動産を所有している場合、いずれその不動産を相続する日が来る可能性のある人は多いでしょう。そのため、実際に相続することになったときに正しい対応ができるよう、手続きの手順をきちんと把握しておくことはとても大切です。
今回は、生前贈与や相続を行う際の手順について、詳しく解説してきました。また、親の不動産の相続に関して押さえるべき注意点についても解説したので、今回の内容について理解を深めておけば、実際に相続した際に正しい行動ができるはずです。
ま不要な不動産を相続した場合は、放置するのはリスクが多いため避けましょう。費用をかけずに相続した空き家をどうにかしたいという方は、ぜひフリーノベーションによる有効活用を検討してみてください。オンライン相談や無料査定も行っていますので、気になる方はお気軽にご相談ください!