相続した不動産を売却するには? 売却する流れや注意点、税金などを徹底解説

不動産を相続したあと、売却を検討しているケースは多いかもしれません。しかし、実際に相続後に売却しようとするとき、どのような手順で行えばよいのか、税金や費用は何がかかるのかなど、分からないことが多く戸惑ってしまう人も多いでしょう。そこで今回は、相続した不動産の売却について、ポイントを押さえながら徹底解説していきます。

 

相続した不動産を売却する流れ

相続した不動産を売却する際の流れについて、以下の8つのステップに分けて全体を把握していきましょう。

  1. 遺言書の確認
  2. 相続財産・相続人の確認
  3. 遺産分割協議
  4. 相続登記
  5. 相続税の申告・納付
  6. 売却活動
  7. 売買契約の締結
  8. 確定申告

 

1.遺言書の確認

相続が発生したら最初に行うべきことは、遺言書の有無の確認です。被相続人による遺言書があるかないかによって、その後の対応の仕方が大きく変わってきます。遺言書があった場合はその内容に従って相続手続きを進めていくことになり、遺言書がなかった場合は法定相続人により遺産の分割方法を協議することになるでしょう。初めに遺言書の確認をしておかなければ、遺産分割協議後になってから遺言書が発見され、大きなトラブルへと発展してしまう可能性もあります。そのため、相続発生時には必ず遺言書の確認を初めに行っておきましょう。

 

2.相続財産・相続人の確認

遺言書の有無を確認後、次は相続財産と相続人の確認を行いましょう。相続財産については、相続人が元々認識しているもののほかにも、預貯金や借金などの財産が残されていたというケースが実際に多くあります。そのため、すべての相続財産をきちんと調査することがとても重要です。

また、相続人が誰になるかというのも、正しく確認しておかなければなりません。相続人の確認は、被相続人の戸籍謄本によって調べましょう。相続人を正しく確認しておかなければ、相続できると思っていた人が実は相続人とはならなかったり、逆に自らが相続人だと認識していなかった人が実は相続人であったりする事態が起こりかねないので、注意が必要です。

 

3.遺産分割協議

すべての相続財産を確認し、相続人も確定したら、遺産分割協議を行います。遺産分割協議は、相続人全員によって行わなければなりません。そのため、遠方に住んでいる相続人がいたり、長年関係性が疎遠になっている相続人がいたりした場合でも、必ず全員が集まって協議を行う必要があるということを理解しておきましょう。

遺産分割協議では、複数いる相続人のうち、誰がどの財産をどのような割合で相続するのか、話し合いによって決めていきます。詳しい分割方法が決定したら、遺産分割協議書を作成し、相続人全員で署名捺印を行いましょう。なお、捺印は必ず実印にて行い、全員分の印鑑証明書を用意して揃えることも必要です。

 

4.相続登記

遺産分割協議が完了し、遺産分割協議書の準備も整ったら、法務局へ相続登記の申請を行いましょう。相続登記は、相続する不動産の登記名義を、被相続人から相続人へと変更するために必要な手続きです。相続登記の申請では、遺産分割協議書のほかにも、用意しなければならない必要書類が非常に多くあります。そのため、不足がないように慎重に用意することがとても大切です。

書類の取得にはそれぞれ費用がかかるうえ、用意するのに手間や時間がかかる可能性も高いので、余裕を持って準備を進めていくようにしましょう。

 

5.相続税の申告・納付

相続登記が済んだら、必要に応じて相続税の申告及び納付を行います。不動産を相続した場合、相続税が課税される可能性がありますが、控除などの適用によりまったく課税されないケースも少なくありません。そのため、相続税の課税対象であるかどうかをまずは確認しておきましょう。相続税が課税される場合は、10ヶ月以内に申告と納付を済ませなければなりません。期限を過ぎてしまうと、延滞税の徴収などの罰則を受けることになる可能性があるので、注意が必要です。

相続税の申告及び納付が終われば、相続手続きについてはこれにて完了ということになります。

 

6.売却活動

一連の相続手続きが完了したら、相続した不動産の売却活動を開始しましょう。不動産の売却は、不動産会社に依頼するのが一般的です。そのため、まずは売却を依頼する不動産会社を選んで、媒介契約を締結しましょう。なお、不動産の売却を行っている不動産会社は非常に数が多いため、最初から1社に決めてしまうのではなく、複数の不動産会社を比較検討しながら決めていくことが重要です。

依頼する不動産会社が決定したら、不動産会社と共に売却の宣伝活動などを進めていきます。購入検討者から内見の希望があれば内見してもらい、必要に応じて売却価格の見直しなども行っていきましょう。

 

7.売買契約の締結

売却活動の結果、買い手が見つかったら、買主との間で売買契約を締結します。買主との売買契約を締結する際には、不動産会社が間に入って手続きを進めてくれるケースが一般的です。売買契約の流れとしては、まず買主との顔合わせを行い、売却不動産に関する説明を経て、契約書を取り交わします。その後、買主からの手付金を受け取ったうえで、残金決済及び不動産の引き渡し日を迎えるというのが一般的な流れです。

非常に大きな金額が動く取引となることが考えられるので、売買契約について疑問点などがあった場合は、その都度担当者に質問して疑問を解消するようにしましょう。

 

8.確定申告

相続した不動産の売却がすべて完了し、結果として利益が生じた場合には、譲渡所得税の確定申告をしなければなりません。確定申告を行うのは、相続した不動産を売却した翌年の2月16日から3月15日となります。そのため、売却するタイミングによっては、売却時から確定申告の時期までの期間が長く空くケースも少なくないので、忘れないように注意しましょう。

なお、不動産売却時の譲渡所得税は、控除や特例の適用によって非課税となる場合もあります。しかし、その場合でも確定申告は必要となるので、正しく理解しておきましょう。

 

相続した不動産の売却にかかる税金・費用

ここでは、相続した不動産を売却する際にかかる税金や費用について、詳しく解説していきます。実際にかかる税金や費用の種類は多数あるので、事前に把握しておくと売却がスムーズです。

 

不動産売却にかかる税金

まずは、不動産売却にかかる税金から見ていきましょう。相続した不動産を売却する際にかかる税金は、主に次の3つです。

  • 譲渡所得税
  • 登録免許税
  • 印紙税

譲渡所得税は、不動産を売却したことによって利益が生じた場合に課税される税金です。譲渡所得税の税額は、売却時における不動産の所有期間によって税率が異なります。所有期間が5年以下であれば39.63%、5年を超えている場合は20.315%の税率が適用されます。ただし、条件を満たしていれば被相続人が所有していた期間も合算することが可能になるので、どちらの税率が適用されるかを正しく確認しておきましょう。

また、不動産を相続した際、登記の名義を変更する際には、登録免許税がかかります。登記の名義変更は、たとえ相続したあとすぐに売却する場合であっても、必ず行わなければなりません。登録免許税の税額は、対象の不動産の固定資産税評価額に0.4%の税率をかけて算出されます。相続する不動産の固定資産税評価額が高ければ高いほど、登録免許税の税額も上がるようになっているということを理解しておきましょう。

さらにもう1つ、不動産を売却し売買契約を締結するときには、印紙税という税金も課税されます。印紙税は、買主との間で取り交わす売買契約書に対してかかる税金です。印紙税の税額は、売買契約書に記載された契約金額に応じて決められます。具体的な金額については、国税庁のHPにてが掲載されているので、確認しておくとよいでしょう。

 

不動産売却にかかる費用

次に、不動産売却にかかる費用についても見ていきましょう。相続した不動産を売却する際にかかる費用は、次の通りです。

  • 不動産会社への仲介手数料
  • 相続手続きにおける司法書士報酬
  • 測量費用
  • ハウスクリーニング費用
  • 解体費用

ただし、必ずしも上記の費用がすべてかかるわけではないので、1つずつ確認していきましょう。まず、売却を不動産会社に依頼した場合は、仲介手数料が発生します。金額は、売却価格×3%+6万円が上限とされています。

また、不動産の相続手続きを司法書士に依頼した場合には、司法書士報酬も必要です。司法書士報酬の金額は、10万円前後を目安として把握しておくとよいでしょう。

さらに、不動産を売却する際には、土地の測量を売主負担で行うケースが一般的であり、測量費用がかかります。測量を行い、隣地との境界や土地の正確な面積を確認しておくことは、売却において非常に重要なことです。測量費用の金額は、50~80万円程度が目安といえるでしょう。

売却する不動産が家屋であり、売却前にハウスクリーニングを行う場合には、ハウスクリーニング費用もかかります。これは、必ず行わなければならないものではありませんが、早く売るためには行うケースも多いでしょう。だいたい3~10万円程度が費用相場となっています。

売却前に建物を解体して更地にする場合においては、建物の解体費用がかかります。この場合、100万円単位での費用がかかってくるのが一般的なので、事前に把握しておくことが必要です。

建物解体に活用できる補助金について詳しく

 

相続税の節税対策

不動産を相続した際にかかる相続税について、税負担を軽くするための節税対策も把握しておいたほうがよいでしょう。ここでは、以下の2つの節税対策について紹介していきます。

  • 相続税の税制優遇措置
  • 相続不動産の税制優遇措置

 

相続税の税制優遇措置

不動産を相続したとき、適用される可能性のある税制優遇措置はいくつかあります。例えば、被相続人の配偶者が相続人である場合、相続財産が1億6,000万円以下もしくは法定相続分相当額以内であれば相続税が課税されないという軽減措置の制度があります。

また、相続人が未成年であれば、相続税の計算において一定額が控除されるという税額控除の制度も設けられています。さらに、過去10年以内に2回の相続をしている場合において、2回目の相続税が安くなる相次相続控除の制度もあるので、期間を空けずに相続が発生した場合は相続税の負担を軽くすることが可能です。

ほかにも、相続人が障害者である場合に適用される税額控除の制度や、海外にて相続税を納めた場合に利用できる外国税額控除の制度などもあります。

 

相続不動産の税制優遇措置

相続税の節税対策は、不動産を相続したときに利用できる制度だけではなく、相続後に不動産を売却するときに利用できる制度もあります。相続不動産を売却する際に利用できる税制優遇措置は主に2つあるので、それぞれ適用可能かどうかを確認しておくとよいでしょう。

1つ目は、取得費加算の特例という制度です。これは、相続した不動産の売却を、相続税申告期限の翌日から3年以内に行った場合に、既に支払っている相続税の一部を取得費として加算できるという内容となっています。これにより、譲渡所得税の税額を抑えることに繋がります。

2つ目は、小規模宅地等の特例です。これは、一定の要件を満たすと、限られた面積の分だけ相続税が減額されるという内容になっています。なお、小規模宅地等の特例では、適用要件が非常に細かく設定されているので、国税庁のHPにてよく確認してみましょう。

 

相続不動産の名義変更方法

不動産を相続した場合、必ず登記の名義変更を行わなければなりません。そのため、相続不動産の名義変更方法についても、きちんと把握しておいたほうがよいでしょう。ここでは以下の3つのステップに分けて、名義変更方法を解説していきます。

  1. 必要書類を揃える
  2. 登記申告書の作成・提出
  3. 登記識別情報通知の受け取り

 

1.必要書類を揃える

相続不動産の名義変更手続きを行うためには、まず必要書類を揃えることから始めます。不動産の名義変更では、用意しなければならない必要書類が非常に多いため、不足がないように慎重に揃えていきましょう。主な必要書類は、被相続人及び相続人全員分の戸籍謄本類や住民票(除票)、登記申請書、固定資産評価証明書などがあります。

なお、揃えるべき必要書類の内容は、遺言書の有無や遺産分割協議書の有無などによって多少異なります。また、相続時の状況によって、戸籍謄本類の取り方も変わってくるので、注意が必要です。相続人の数が多い場合は、全員分の書類を集めるのに時間がかかってしまうケースもよくあるので、余裕を持って計画的に書類の用意を進めていくようにしましょう。

 

2.登記申告書の作成・提出

名義変更に必要な書類が揃ったら、登記申請書を作成し、管轄の法務局へ提出します。登記申請書は、法務局にて取得することも可能ですが、法務局のHPからダウンロードすることも可能です。法務局のHPでは、申請書の記入例も詳しく掲載されているので、手間を省きたい場合はこの方法で取得し作成するのがよいかもしれません。

申請書が作成できたら、相続した不動産が所在するエリアを管轄する法務局へ提出しましょう。登記の名義変更は、全国どこの法務局でも申請できるわけではないので、注意が必要です。

 

3.登記識別情報通知の受け取り

登記申請書を法務局へ提出し、申請が無事に受理されると、登記完了証と共に登記識別情報通知を受け取ります。目安としては、だいたい申請した日から1週間程度で受け取れるケースが一般的といえるでしょう。

登記完了証及び登記識別情報通知を受け取ったら、相続不動産の名義変更の一連の流れは完了となります。なお、受け取った登記識別情報は、不動産を売却する際にも使用する可能性があるので、必ず大切に保管しておきましょう。

 

相続不動産を売却する際の注意点

相続した不動産の売却では、注意するべきポイントがいくつかあります。ここでは、以下4つの注意点を挙げ、それぞれ詳しく解説していきます。

  • 相続登記と名義変更は必ず行っておく
  • 3年を目安に売却すると控除特例を利用できる
  • 査定は複数業者に依頼する
  • 売却までは放置せずに管理する

 

相続登記と名義変更は必ず行っておく

不動産を売却した際は、相続登記と名義変更を必ず行いましょう。相続後すぐに売却することを検討している場合、相続登記や名義変更をせずにそのまま買主へ不動産を引き渡そうと考える人もいるかもしれません。しかし、登記の名義がきちんと自分のものに変更されていなければ、そもそも不動産を売却することはできないので、注意が必要です。

また、相続後に売却するかどうかにかかわらず、相続登記の手続きは義務化されることが決まっています。そのため、どちらにしても必ず行うべきであるといえるでしょう。

 

3年を目安に売却すると控除特例を利用できる

相続した不動産を売却する場合、相続してから3年以内を目安に売却すると、控除特例を利用できる可能性があります。そのため、節税対策を考慮するのであれば、なるべく早めに売却することを検討したほうがよいでしょう。相続後3年以内に利用できる控除特例は2つあり、1つは取得費加算の特例、もう1つは相続空き家の3,000万円特別控除の特例です。適用期限を過ぎてから売却すると軽減措置が受けられなくなり、税負担が大きくなってしまう可能性があるので、3年を目安に売却の計画を立てておくとよいでしょう。

 

査定は複数業者に依頼する

相続した不動産を売却する際、不動産会社に売却価格の査定を依頼するケースが一般的ですが、必ず1社のみではなく複数の業者に依頼するようにしましょう。なぜなら、1社のみでしか査定を行わないと、査定結果を比較することができず、不当に安い価格を提示されても気づかない可能性があるからです。複数の業者に査定を依頼すれば、価格を比較検討することが可能になり、安心して売却を任せられる業者を見極めることができます。そのため、多少の手間がかかったとしても、損しないためには複数の業者にて売却査定を行うようにしましょう。

 

売却までは放置せずに管理する

不動産を相続し、その後売却する場合でも、実際に売却するまでは不動産を放置せずにきちんと管理する必要があります。なぜなら、相続した不動産を長期間放置してしまうと、通常以上に劣化の進みが早くなり、売却できる状態ではなくなってしまったり、建物の破損や倒壊などにより近隣住民へ迷惑をかけてしまったりするリスクが高まるからです。そのため、売却するまでの期間は自分が所有者という立場にあることをきちんと理解し、責任を持って不動産を管理しましょう。ただし、適切に管理するためには手間や費用がかかってしまうため、上手く活用するなどの工夫を考えることも重要となります。

 

相続した不要な不動産は「フリーノベーション」で"ゼロ円"活用!

不動産を相続した場合、その後売却するつもりであったとしても、自分が所有者となった以上は放置せずにきちんと管理する必要があります。しかし、使い道がなく不要な不動産を管理するために、手間や費用をかけたくはないという考えの人も多いかもしれません。そこで、「フリーノベーション」によるゼロ円活用を検討してみてはいかがでしょうか?

フリーノベーションは、不要な空き家を弊社が預かり、リノベーションして賃貸経営することで、所有者様へ毎月安定して家賃が入る仕組みとなっています。毎月の家賃は、賃貸経営の状況に関わらず安定した額を弊社から所有者様へ支払うので、所有者様がリスクを負うことはありません。

また、普通なら不動産の管理や活用のためにある程度の費用がかかりますが、この方法なら一切費用を負担する必要もありません。完全にゼロ円で所有者様は手間もかからないので、活用方法にお悩みの方はぜひ一度検討してみてください。

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相続した不動産を売却するなら、流れや費用について理解を深めておこう

不動産を相続し、その後売却するといったケースは非常に多くあります。そして、実際に相続した不動産を売却するには、正しい手順をきちんと理解しておくことがとても大切です。今回は、不動産を相続してから売却するまでの流れについて、詳しく解説してきました。また、一連の流れの中でかかってくる費用や、押さえておくべき注意点などについても解説したので、今後不動産を相続したり、売却したりする可能性のある人は、ぜひ参考にしてみてください。

また、不要な不動産を相続した場合は、フリーノベーションによる有効活用が非常におすすめです。費用や手間の面で活用をお悩みの方にぴったりの方法です。気になる方は無料査定やオンライン相談も行っているため、ぜひお気軽にお問合せください。

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