空き家解体の補助金は国から出る? 補助金が出る理由から種類・条件まで分かりやすく解説
空き家の解体を検討しているが、費用がなく補助金を受けたいという方も多いでしょう。空き家を解体する際には、一定の条件を満たすことで補助金を受け取れます。今回は、空き家の解体の補助金制度について、補助金が出る理由から補助金の種類・条件まで詳しく解説します。
空き家の解体に補助金が出る理由とは?
一定の条件を満たした場合、空き家の解体には、補助金が支給される可能性があります。空き家であっても長期間人が住んでいないなどの条件が揃い、「特定空き家」と認定された場合には、補助金の支給対象となることをまずは覚えておきましょう。
空き家の解体に補助金が出る主な理由には以下のようなものが挙げられます。
- 景観の保持
- 放火や犯罪などを防ぐ
- 不法投棄や害虫の発生などを防ぐ
- 違法薬物の取引場所となる可能性を防ぐ
- 倒壊などによる近隣への危険の排除
- 周辺で暮らす住民の生活に悪影響を及ぼすことを防ぐ
つまり、空き家を放置するとトラブルの原因となるため、トラブルを防ぐために空き家の解体に補助金を支給しているといえます。
空き家解体の補助金はどこから出る?
空き家解体の補助金は、「自治体」から支給されています。空き家解体の補助金は、国土交通省の「空き家再生等推進事業」がもとなので、補助金は「国」から支給されていると思われる方も少なくありません。しかし、国土交通省の「空き家再生等推進事業」は、個人宛てではなく「自治体」に補助が行われているのです。つまり、国は自治体に補助を行い、自治体から個人に補助を行うような位置づけです。
空き家解体の補助金・助成金の種類と条件
空き家解体の補助金・助成金には、いくつかの種類があります。
- 老朽危険家屋解体撤去補助金
- 危険廃屋解体補助金
- 建て替え工事補助金
- 木造住宅解体工事補助金
ここでは、4つの空き家解体の補助金・助成金条件について解説します。
老朽危険家屋解体撤去補助金
老朽危険空き家解体補助金とは、長期間維持・管理せずに放置されており、倒壊する危険性があると判断される空き家に対しての補助金です。
老朽危険空き家解体補助金を受けるためには、「老朽危険空き家」に該当するか否か、事前に自治体の調査を受ける必要があります。
老朽危険空き家解体補助金は、老朽化した空き家を解体する費用の一部を補助する制度です。
補助金の金額は自治体によって異なりますが、一般的な補助金支給額は、「解体費用の2~5割程度」とされています。
危険廃屋解体補助金
危険廃屋解体補助金は、放置し続けると危険があると判断された空き家を対象とした補助金です。空き家の周辺で暮らしている住民の安心・安全を考え、住みやすい環境を整えることを目的としています。
危険廃屋解体補助金を受ける条件は、自治体ごとで異なりますが、所有者が居住して自治体の認定などを受けるのが一般的です。
危険廃屋解体補助金は、危険廃屋と認められた空き家の取り壊し・撤去・処分にかかる経費の一部を補助する制度です。補助金の金額も自治体によって異なりますが、「解体費用の1/5~1/2程度」が目安となります。
建て替え工事補助金
建て替え建設費補助金は、建物の老朽化などで防災性や居住環境に問題がある場合に、防災性や居住環境を改善することを目的としている補助金です。
建て替え建設費補助金を受けるためには、一定の条件を満たす必要があります。
建て替え建設費補助金の主な条件は、以下の2つです。
- 老朽化した住宅を除去
- 一定の基準を満たす住宅を建築
建て替え建設費補助金は、老朽化した住宅の解体費用や新たな住居の建設費用の一部を補助する制度です。補助金の金額は、自治体によって異なりますが、「建て替えに要する費用の1/2~1/3分程度」が目安です。
木造住宅解体工事補助金
木造住宅解体工事補助金は、地震発生時における木造住宅の倒壊などによって起こる被害を防ぎ、災害に強い街づくりを目的とした補助金です。
木造住宅解体工事補助金の補助金を受けるためには、一定の条件を満たす必要があります。
木造住宅解体工事補助金を受けるための主な条件は、以下の2つです。
- 旧基準(昭和56年5月以前に確認申請を取得している住宅)の木造住宅
- 無料耐震診断を受診し、判定値が基準未満であると診断されること
木造住宅解体工事補助金は、倒壊してしまう危険があると判断された木造住宅に対して、解体費用の一部を補助します。
【自治体ごと】空き家の補助金・助成金の例
自治体ごとで具体的にどのような空き家の補助金・助成金があるのか気になる方も多いでしょう。ここでは、自治体ごとの空き家の補助金・助成金例を紹介します。
東京都の空き家の補助金・助成金の例
- 老朽危険空家除却費用の助成制度(杉並区)
老朽化した倒壊の危険性の高い空き家を除却・解体する場合に、工事費用の一部を補助する制度。【助成率】工事費の80%【助成限度額】150万円 - 老朽建築物の除却助成(江東区)
老朽化した建物の建て替えの誘導や耐震化の促進を目的として、一定の条件を満たした場合に除却に要する費用の一部を補助する制度。【助成率】除却に要する費用の1/2【助成限度額】50万円 - 空家等対策事業(文京区)
管理不全な空き家などの除却を促進し、土地を有効活用することを目的とした制度。【補助について】除却に要した費用【助成限度額】200万円
埼玉県の空き家の補助金・助成金の例
- 熊谷市空き家等除却補助金(熊谷市)
良好な生活環境の保全を目的として、老朽化した空き家の除却に要する費用の一部を補助する制度。【補助金額】①除却に要する費用4/5②居住部分の床面積×20,000円(1㎡あたり)のいずれか低い方【助成限度額】30万円 - 木造住宅の除却工事補助金(飯能市)
地震による木造住宅の倒壊による被害を抑え、安全な街づくりを目的とした制度。【助成率】工事に要した費用の23%以内【助成限度額】市内業者が施工:30万円、市外業者が施工:20万円 - 美里町危険老朽空き家除去補助制度(美里町)
危険な老朽化した空き家の物件調査や解体に関する費用を一部補助する制度。【助成限度額】50万円
大阪府の空き家の補助金・助成金の例
- 池田市空き家等老朽木造住宅の除却補助(池田市)
自然災害による被害の軽減・住環境の改善を目的とした制度。【補助金額】20万円(定額補助) - 大阪狭山市既存民間建築物除却補助制度(大阪狭山市)
空家の倒壊等による人的・経済的な被害を抑えることを目的とした制度。【補助金額】①1㎡あたり20,000円(非木造:30,000円)②不良住宅判定された場合:最大100万円、耐震性がない住宅:最大50万円のいずれか低い方【助成限度額】除却工事費の8/10 - 木造住宅除却補助制度(八尾市)
木造住宅の除却工事費用の一部を補助する制度。【補助金額】一戸(長屋・共同住宅は一棟)150,000円
兵庫県の空き家の補助金・助成金の例
- 姫路市⽼朽空家対策補助⾦交付制度(姫路市)
老朽空き家の撤去と安全・安心の確保、住環境の向上を目的とした制度。【助成率】地域の自治会:工事に要する費用の1/2、老朽空家・土地の相続人:工事に要する費用の1/3【助成限度額】地域の自治会:1件100万円、老朽空家・土地の相続人:1件50万円 - 危険空き家除却費補助事業(太子市)
空き家対策として危険な老朽空き家の解体・撤去費の一部を補助する制度。【助成率】工事に要する費用の2/3以内 【助成限度額】133万2千円 - 老朽空家等解体補助制度(神戸市)
腐朽や破損がある住宅などを解体する際に補助金を支給する制度。【助成率】工事に要した費用の1/3【助成限度額】1件60万円
空き家解体費用の相場
空き家を解体する費用の相場は、「100〜300万円程度」です。ただし、地域や空き家の構造、条件によって異なることを知っておきましょう。空き家の構造による1坪あたりの解体費用の相場は、以下の表をご覧ください。
建物の構造 |
1坪あたりの解体費用相場 |
木造 | 3~5万円程度 |
鉄骨造 | 5~7万円程度 |
RC(鉄筋コンクリート)造 | 6~8万円程度 |
解体以外の空き家に対する補助金
空き家を解体する以外にも、空き家を活用する場合にも補助金を受けられる可能性があります。
- 住宅確保要配慮者専用賃貸住宅改修事業
住宅セーフティネット制度の創設に合わせて導入された制度です。
空き家などを改修して、年々増え続ける住宅に困窮する子育て世帯や高齢者世帯等の住宅確保要配慮者に対応するための住宅確保要配慮者専用賃貸住宅の整備に掛かる費用の一部を補助します。【助成率】改修工事に要した費用の1/3
【助成限度額】50万円/戸
※バリアフリー改修・耐震改修などを実施する場合、別途上限に加算があります。
- 空家等適正管理支援事業(渋谷区)
空家などが周辺環境に及ぼす悪影響を防ぐために、適正管理を目的とする工事などを行う場合に、費用の一部を助成する制度です。【助成率】費用の50%
【助成限度額】不良住宅の除却など:50万円、それ以外の工事:10万円
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空き家は解体以外でも補助金が出る!空き家をはやめに活用しよう!
空き家は、放置しておくとトラブルの原因となってしまいます。そんな空き家のトラブルを防ぐために、空き家を解体するときには「補助金・助成金」を受け取れる可能性があるのです。
ただし、あくまで補助金なので、解体にかかるすべての金額を受け取れるわけではありません。空き家を解体するためには、補助金を利用しても、多少なりとも費用がかかってしまいますが、お金をかけずに空き家を活用する方法もあります。
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