相続登記を自分でするのは可能か? その詳しい方法や注意点などを徹底解説

相続登記が必要となった際、自分で手続きを行うことを検討するケースは多いかもしれません。しかし、実際のところ、相続登記を専門家に依頼せずに自分で行うことは可能なのでしょうか?今回は、相続登記を自分ですることは可能なのかどうか、詳しい流れや注意点なども押さえながら徹底解説していきます。

 

相続登記は自分でできる?

相続登記は、自分で行うことも可能です。しかし、実際に行う手続きは複雑で、自分で進められるケースもあれば、専門家に依頼したほうがよいケースもあります。

ここでは、具体的にどのようなケースであれば自分で進められるのか、反対に専門家に依頼したほうがよいのはどのようなケースか、解説していきます。

 

自分で進められるケース

相続登記を自分で進めやすいのは、例えば次のようなケースといえるでしょう。

  • 相続人は配偶者と子供のみ
  • 平日の昼間に多くの時間を割ける
  • 根気強さに自信がある

相続人が配偶者と子供のみというのは、相続において最もシンプルなケースであり、手続きもそこまで複雑化しないというのがポイントです。
また、相続登記の手続きは、基本的に平日の昼間に行わなければならなくなるため、十分な時間を割けるかどうかという点も重要となります。
さらに、相続登記を最初から最後まで自分で行うには、かなりの時間や手間が必要となるため、根気強さがなければやり抜くことは難しいでしょう。
決して楽な作業ではないことを承知のうえで、最後まで根気強くやれる自信があるかどうか、よく考えてみることが大切です。

 

専門家に依頼がよいケース

相続登記を専門家に依頼したほうがよいのは、例えば次のようなケースです。

  • 相続人が兄弟姉妹または代襲相続が発生
  • 相続人が複数いて関係性が良好でない
  • 過去に相続登記がされていない財産がある
  • 急いで相続登記をしなければならない
  • 相続する不動産が遠方にある

相続人が兄弟姉妹の場合、用意しなければならない書類の量が一気に増えます。そのため、自分ですべて揃えるのはかなり難しいのが現状です。
また、相続人のうち、関係性が良好ではない者がいる場合も、遺産の分割協議がスムーズに進まなかったり、全員分の書類を集めるのが困難になったりすることが多いため、専門家に依頼したほうがよいでしょう。

ほかにも、過去に相続登記がされていないままの財産がある場合や、相続登記を急ぐ場合、相続する不動産が遠方の場合なども、専門家に依頼するのが賢明です。

 

相続登記を自分でやる方法・流れ

相続登記を自分で行うためには、全体的な手続き方法や流れを理解しておく必要があります。ここでは、下記の流れに沿って、相続登記のやり方を詳しく確認していきましょう。

  1. 相続財産の特定
  2. 登記簿謄本の取得
  3. 必要書類の収集
  4. 管轄法務局の確認
  5. 登録免許税の計算
  6. 登記申請書の作成
  7. 法務局に申請
  8. 返却書類の受領

 

相続財産の特定

相続登記を行う際は、まず相続財産を特定することから始めましょう。被相続人が所有していたすべての財産を正確に把握しておかなければ、相続登記を進めることはできません。

所有財産を知るには、被相続人の固定資産税課税明細書を確認するのが最も簡単な方法です。固定資産税課税明細書は、固定資産税の納税通知書と合わせて送られてくるものなので、セットで保管されているケースが多いかもしれません。
見つからない場合は、役所で管理されている名寄帳を取得して確認することもできます。

 

登記簿謄本の取得

相続財産が特定できたら、登記簿謄本を取得しましょう。登記簿謄本は、法務局に申請することで取得できます。なお、直接法務局の窓口へ行かなくても、郵送やインターネットで取得の申請を行うこともできるので、やりやすい方法を選ぶとよいでしょう。

登記簿謄本では、被相続人が所有していた不動産に関する正しい情報を確認します。例えば、地番や地目は課税明細書の記載内容と相違がないか、名義は被相続人のものとなっているかなどについて確認しましょう。

 

必要書類の収集

相続財産の確認が取れたら、手続きに必要な書類を収集していきます。この作業が、特に労力を使うことになるかもしれません。用意すべき書類は、下記の通りです。

  • 登記簿謄本
  • 相続登記申請書
  • 被相続人の住民票の除票
  • 被相続人および相続人全員分の戸籍謄本
  • 相続人全員分の印鑑証明書
  • 相続人のうち不動産を相続する者の住民票
  • 固定資産評価証明書
  • 遺産分割協議書

上記のうち、登記簿謄本と相続登記申請書は法務局で取得、遺産分割協議書は相続人が自分たちで用意、それ以外の書類はすべて市区町村にて取得することになります。取得に手間がかかりがちなのは戸籍謄本で、それぞれの本籍地における役所で取得しなければなりません。

 

管轄法務局の確認

最終的に相続登記の手続きを行うのは、法務局になります。そのため、この段階で管轄法務局を確認しておいたほうがよいでしょう。
このときに注意しなければならないのが、管轄法務局は、被相続人が生前住んでいた地域の法務局ではないということです。相続登記を行う法務局は、相続の対象となる不動産の所在地を管轄する法務局となるので、正しく理解しておきましょう。

 

登録免許税の計算

相続登記を行う際には登録免許税がかかるため、必要な税額を計算しておきましょう。登録免許税は、固定資産税標評価額に0.4%の税率をかけて計算することができます。
固定資産税評価額は、固定資産税の納税通知書で確認することができるので、それをもとに計算してみましょう。登録免許税を計算しておかなければ、実際の手続きを行う際に慌ててしまう恐れがあります。
なお、登録免許税は、現金で支払うのではなく、印紙によって納付することになるのが一般的です。

 

登記申請書の作成

ここまでの準備が整ったら、実際に登記申請書を作成していきましょう。登記申請書の作成は、非常に細かく丁寧な作業が必要とされるので、慎重に行うことが大切です。
正しく作成するためには、法務局が公表している記入例を参考にしながら進めていくのがよいでしょう。

万が一、登記申請書の記入内容に誤りがあると、後日差し戻されてしまったり、申請そのものを一からやり直さなければならなくなったりする可能性があります。

 

法務局に申請

登記申請書の作成が完了したら、実際に法務局へ申請手続きを行いましょう。申請は、直接法務局を訪れて窓口にて行うことも可能ですが、書類の郵送で行うこともできます。
なるべく時間や手間をかけたくない場合は、郵送での申請のほうが楽かもしれません。郵送で行う場合は、書留もしくは赤色のレターパックを使用したほうがよいでしょう。実際の申請でも、不足書類などがあれば後日修正を依頼されることになってしまうので、細心の注意を払って行いましょう。

 

返却書類の受領

申請が無事に完了したら、返却書類が手元に届くので、受領しましょう。目安としては、申請してからだいたい1~2週間後に届くのが一般的です。内容としては、登記識別情報通知という書類が届くので、申請した内容と間違いがないかよく確認しましょう。問題がなければ、大切に保管し、相続登記の一連の流れは完了となります。

 

相続登記を自分でやる場合かかる費用

相続登記を自分でやる場合、だいたいいくらぐらいの費用がかかるのか、気になっている人も多いでしょう。相続登記を行う際にかかる費用は、大きく分けて2つあります。1つは、必要書類を取得するための費用、もう1つは、登記する際の登録免許税です。必要書類の取得費用は、相続人の人数などにもよりますが、全部合わせて2,000~3,000円程度となるケースが多いでしょう。登録免許税は、固定資産税評価額×0.4%を計算して求められます。

相続登記の費用について詳しく

 

相続登記を自分でやる際の注意点

相続登記を自分でやるには、知っておきたい注意点がいくつかあります。実際に相続登記を行う前にきちんと押さえておきましょう。

 

自分でやるのは手間と時間がかかる

相続登記を自分でやろうとしている人は、手間と時間が大幅にかかってしまうということを予め理解しておかなければなりません。
例えば、必要書類をすべて集めるだけでも、複数の役所を訪れたり、法務局にも何回も足を運ばなければならなかったりするでしょう。特に、相続する不動産が遠方である場合や、遠方に住んでいるほかの相続人がいる場合などは、遠いところまで書類を取りにいかなければならない可能性があるので、より手間と時間がかかってしまうかもしれません。

 

ミスが起こる可能性がある

相続登記を自分でやると、ミスが起こる可能性が高まってしまうので、注意が必要です。相続登記の手続きでは、書類の記入方法のルールが非常に細かく、丁寧に記入したつもりでもミスが出てしまい差し戻されてしまうケースも少なくありません。中には、何回も差し戻しとなってしまい、精神的に挫折してしまったという人もいます。
また、相続財産を把握する際にもミスが起こりやすいので、すべてを慎重に進めていくことが求められるでしょう。

 

2024年4月、相続登記が義務化

現状では、相続登記はあくまで任意とされており、相続登記をしなかった場合でも罰則を受けることはありません。しかし、2024年4月から、相続登記が義務化されることが決定しました。背景としては、相続登記が任意であることから、登記されずに放置されてしまう空き地や空き家が増えているという問題を解決するために法改正が行われたとされています。

相続登記が義務化されると、相続が発生したにもかかわらず登記をしなかった場合、罰則として10万円以下の過料の対象となってしまいます。そのため、相続が行われた際は、必ず相続登記を行いましょう。

相続登記の義務化についてさらに詳しく知っておく

 

不要な空き家を相続した方は「フリーノベーション」での活用がおすすめ

相続登記を自分で行うことは可能ではあるものの、実際には非常に手間や時間がかかり、難しさを感じてしまう人も多いでしょう。しかし、相続登記の義務化も控えている中、相続したまま放置することもできません。

そこで、不要な空き家を相続したもののどうすればよいか分からず困っている人には、フリーノベーションでの活用をおすすめします。フリーノベーションとは、弊社と賃貸契約を結び、弊社がリノベーションを行い賃貸経営するといった活用方法です。この方法なら、所有者様の費用負担は一切かからず、さらに、安定した家賃を受け取ることができます。契約終了後はリノベーション済みの家が手元に戻ります。所有者様の手間もリスクもゼロで始められる空き家の活用方法なので、ぜひ検討してみてください。

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自分で相続登記をするのは難しい!流れや費用・注意点をきちんと押さえておこう

相続登記は、自分ですることも可能です。ただし、実際の手続きは簡単な作業ではないということも理解しておかなければなりません。そのため、自分で相続登記を行う場合は、手続きの流れや具体的な進め方、必要な費用、注意すべき点などをきちんと押さえたうえで行うことが重要です。

また、不要な空き家を相続し、手続きや活用方法などで悩んでいる場合は、ぜひフリーノベーションによる活用を検討してみてください。手間も費用もリスクもかからない、非常にメリットの大きい活用方法です。無料査定も行っていますので気になる方はぜひお気軽にご相談ください。

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