特徴的な間取りを活かした“おとぎ話”の世界観。女性専用3階建てシェアハウス「FIKA大塚」オープン!
今回は、特殊な間取りをもつ3階建て鉄骨造の一軒家。そのリノベーション事例、そしてリノベーション後の活用として、「シェアハウス」とはそもそもどういうものなのか、どんな需要があるのかをご紹介します。
狭い土地・変わった形の土地に建っている、増改築を繰り返しているなど、建物の形や間取りに不安をお持ちのオーナー様、また物件の活用をお考えの方は是非参考にしてみてください!
依頼の流れ・現地調査
今回は、空き家の中では珍しい鉄骨造の一軒家。建物を管理している不動産会社様からの依頼でした。
しばらく人は住んでいない様子でしたが、どれほどの期間空き家であったのか、またそれ以前の使われ方などは不明です。
少々見づらいですが、元の間取りです。
1階2階が洋室、3階が和室で、階段は螺旋階段になっています。
部屋の形も特徴的、「かなりいびつな間取り」というのが初見の印象で、法令に反しないようにどうにか間取りを組んだような、住みやすさは二の次といった家だと感じました。
さらに、二世帯住宅だったのか玄関・キッチン・浴室が2つずつあり、何を残すのか、どこにリビングをおくか等、どうしたら生活同線が整い、利用しやすくなるかを考えることが一番の課題であると想定されました。
幸いだったのは、鉄骨造という点です。
抜けない柱があり、間取り決めに制限が出てしまう木造と違い、鉄骨造にはそういった制限がなく、間取りや和洋室の選択がしやすい利点があります。
また、JR山手線の中でも治安の良い人気エリアという立地も大きな魅力でした。
大学や専門学校が多いエリアでもあるので、都心へのアクセスや家賃を重視する学生や、上京して初めての一人暮らしの方向けのシェアハウスとして需要があるだろうと考えられました。
土地の広さ・形に不安がある、賃貸に出してみたけど借り手がつかないといったオーナー様も、ぜひ一度弊社にご相談をいただければと思います!
コンセプト
コンセプトを考えるにあたっては、今回のシェアハウスの名前でもある「FIKA」という言葉がキーワードになっています。
FIKA(フィーカ)とは「甘いものを食べながらコーヒーを飲む」というスウェーデン人の習慣のことを指します。
どんなに忙しくても一旦手を止めて、コーヒーを飲みながら甘いものを食べる。
生活にメリハリが生まれ、また仲間とのコミュニケーションも円滑になるといったメリットがあり、シェアハウスのコンセプトにもぴったりだと思いました。
そして、スウェーデン、北欧から童話・おとぎ話と連想し、10代後半~20代前半の女性をターゲットにした可愛らしいデザインを前提とした、入居者がホッと一息つけるような空間づくりの方向性が決まりました。
工事過程
今回は建物の作りがしっかりしていたので、大きな間取り変更は行わず、キッチン・お風呂などの水回りと配線、内装工事が主となりました。
その中でも3階分の配線の引き直しが、今回の一番大きな工事でした。
シェアハウスは「入居者分の個別の生活ある」とイメージしていただければわかりやすいかと思いますが、冷暖房のみならず、各部屋に冷蔵庫があり、ドライヤーも各自使用したりと、多くの電気を必要とするのです。
キッチン・ダイニング
内装は、変形間取りが「デザイン」になるよう、趣向をこらしました。
玄関を入ってすぐのキッチン・ダイニングは、シンプル+派手なアクセントクロスでシェアハウスのコンセプトを前面に出した仕上がりに。
螺旋階段部分
キッチン横にある、2つの玄関を行き来できるようになっていた高さ100㎝ほどの扉は、螺旋階段があるためこれ以上の高さにすることができず、トンネル状にしデザイン性をもたせました。
階段部分の壁には世界観を司る大きなモチーフも。民家では珍しい螺旋階段も、メルヘンな世界観に一役買ってくれています。
個室
空き家には残置物があることもしばしば。今回は和室の畳は剥がし、すべて洋室で揃えました。
リビング同様、個室もアクセントカラーに暖色系の色を持ってくることで可愛らしい印象に。日当たりも良く、変形間取りも楽しんでもらえる明るい空間づくりを目指しました。
浴室
バランス窯+タイル張りの浴室は、シンプルなシャワールームに変更。脱衣所も変形間取りのため、既存の収納システムは設置が難しく、女性のサイズ感に合わせた造作です。
シェアハウスとは
お借りした建物の活用として弊社が挙げている「シェアハウス」。
聞いたことはあるけれど、実際のところよくわからない…というオーナー様は多くいらっしゃいます。
もちろん契約時には改めてご説明をさせていただきますが、今回はシェアハウスがどのような施設なのか、どのような需要があるのかといったことを少しお伝えしたいと思います。
シェアハウスとは、ひとつの物件を複数人(ほとんどの場合他人同士)でシェアして暮らす居住形態です。
どういった人が入居するのか、トラブルなどはないのか、そもそも人が入るのか。
大切な建物をお預けくださるオーナー様からは必ずと言って良い程いただく質問です。
シェアハウスの利点は大きく分けて2つあります。
1つは費用を抑えられる点。
キッチンやリビング、バストイレなどは共同で使用しますが、各自個室もあり、また家具や大型家電も備え付けの場合が多いので、引っ越しの初期費用や賃料を抑えることができます。
光熱費も一律で、その中には日用品やインターネットなどの代金も含まれるので、生活費の節約にもなります。
これは、学生や、夢や目標のためにお金を貯めたい方をはじめ、一時的に東京に暮らす必要があるけれどホテルやマンスリーマンションは高くて手が出せない、これから定職に就くので家を借りる審査が降りないといった方の需要に応えることができます。
シェアハウスは地方からの上京、外国からの来日といった新生活のスタートに使われることが多く、また利用者の8割が女性です。
女性専用シェアハウスが多いのも、そういった理由です。
東京での生活に慣れてきたり定職に就くと一人暮らしを始める方が多く、1人の方のシェアハウス利用期間は1年程度と言われています。
利点の2つ目はセキュリティです。
シェアハウスと同じ家賃で一人暮らしをしようとした場合、都内ですと古い木造アパートしか選べない可能性が高いのが現状です。
オートロックもなく不在がちの一人暮らしの家に比べ、シェアハウスでは複数の入居者がいるため、お互いの存在が抑止力となり、空き巣やストーカーなどの犯罪が起こりにくくなります。
また、私たちのような管理・運営会社が間に入ることで、入居者は規約やルールを守ることができる人に限定され、共有スペースの清掃も入るなど安心して暮らすことが可能です。
都心に仕事が集まる一方で、物価上昇により生活を切り詰めなくてはいけない人も増えている現在、シェアハウスの需要は今後も伸びていくと感じています。
弊社の活動
弊社は古民家を中心とした空き家活用サービスを提供している会社です。
今回の事例は古民家ではありませんでしたが、弊社の事業「ココミンカ」では、古民家再生事業を広く知っていただくため、一般の方や不動産オーナー様に向けて、DIY体験や内覧会、懇親会などのイベントを開催しています。
なぜこのようなイベントを開催しているかというと、私たちが工事に入るとほぼ毎回のように、近隣の皆様から「何の工事をしているの?」との質問をいただくのですが、そこには”長年抱えてきた不安や悩みの種”といったネガティブな感情が込められていることが多いように感じるからです。
そして、空き家は空き家でも古民家(明確な定義はありませんが、国の制定する文化財登録制度の元では築年数が50年以上のものを指す)は特にそういった傾向にあります。
たしかに、放置された空き家による日照遮断、虫の発生、悪臭被害といったトラブルは年々増加しています。
しかし、本来は伝統や古き良きものを残し、再生する可能性を秘めた古民家、空き家。
ネガティブな面ばかりが先行してしまうのは、その実態がクリアになっていないからだと我々は感じています。
なので、弊社がたずさわる物件にお招きして、再生の一部を見て・体験していただき、変わっていく様子を自分事として感じてもらう。
そうすることで、未知で不安の種だった空き家に、興味や価値を見出していただけるのではないか。
私たちが行うさまざまなイベントやDIY体験会にはそんな意味があります。
実際に一部始終を見ていただいた皆様からは「すごく綺麗になったわね」「リノベーションするとこんなに素敵になるのね」と温かなお言葉をいただいています。
古民家再生は、ただ建物を綺麗にするだけで終わりではありません。
再び地域に迎え入れていただく関係性づくり、そして利用者に安心して過ごしてもらえる環境・空間づくり。
ココミンカではそこまでが「古民家再生」だと定義しています。
◆ シェアハウス「FIKA 北大塚」
◆ 全6戸 ※女性専用
◆ JR山手線「大塚駅」徒歩7分
◆ 2024年2月OPEN