相続人がいない空き家はどうなるの? 相続人がいないケースや相続の注意点も解説

相続人がいない空き家はどうなってしまうのか、気になる方も多いでしょう。家の所有者が亡くなったら相続人が家を所有するのが一般的です。しかし、相続人が相続放棄した場合など、相続人がいない空き家も一定数存在します。今回は、空き家の相続人がいないケースから相続人がいない空き家がどうなるのかについて、詳しく解説します。

 

空き家の相続人のいないケースとは?

家の所有者が亡くなると財産は相続人が受け継ぎます。空き家も財産の1つなので、空き家は相続人が受け継ぐのが一般的です。
しかし、なんらかの原因で空き家の相続人がいないケースもあります。よくあるケースには以下のようなものが挙げられます。1つずつ詳しく解説していきます。

  • 相続人が相続放棄した場合
  • 相続人がいない場合
  • 相続人と連絡がとれない場合

 

相続人が相続放棄した場合

相続は、プラスの財産だけが相続されるわけではなく、借金などのマイナスの財産もまとめて相続されます。
「プラスの財産だけを相続する」ということはできないので、マイナスの財産が多い場合にはすべての相続人が相続放棄をしてしまう可能性も否定できません。

2023年3月までは、相続放棄をした場合でも空き家の管理義務が残るケースがありましたが、令和3年の法改正によって相続放棄者の管理義務(保存義務)が明確化されました。改正後民法940条1項によって、放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有していなければ、管理義務(保存義務)を負うことはなくなったので、安心してください。

 

相続人がいない場合

原則として、遺言書などで特別にしていない限り、被相続人の法定相続人(配偶者や子供、兄弟など)のみが財産を相続する権利があります。そのため、法定相続人がいない場合は相続人不存在となってしまいます。
被相続人が生前に遺言状を作成している場合には、任意に指定されている人が財産を相続することが可能です。
また、被相続人と生前特別な関係にあった特別縁故者(生計を同じくしていた内縁の妻や被相続人の療養看護をした人など)がいる場合には、遺産相続を申し立てることもできます。

 

相続人と連絡がとれない場合

相続人の消息や連絡がとれず、行方不明の状態の場合は、相続人がいない状態となってしまいます。その場合、「不在者財産管理人」という制度を利用することで、行方不明者の代わりに財産管理をする人を選任することが可能です。
行方不明の状態から7年以上経過した場合、家庭裁判所で失踪宣言をすれば生死・行方がわからない人は法律上死亡したとみなされます。
失踪宣言を受けた人は、たとえ生きている場合でも法律上死亡したとみなされるため、相続人としての権利もなくなることを覚えておきましょう。

 

相続人がいない空き家はどうなる?

相続人がいない空き家は、以下のような処理が行われます。

  • 「相続人不存在」として処理
  • 国庫に帰属される
  • 申し立てがない場合、放置されることも

 

「相続人不存在」として処理

相続人がいない場合、「相続人不存在」として処理されることになります。相続人不存在として処理される場合には、まず家庭裁判所に「相続財産管理人選定の申し立て」を行います。
その後の流れは、以下の通りです。

  1. 相続財産清算人の選任
  2. 相続財産管理人選任の公告
  3. 相続債権者・受遺者に対する請求申出の公告
  4. 相続人捜索の公告
  5. 公告期間満了後→相続人不存在の確定

これらが完了した後に、特別縁故者がいる場合には財産分与の申立てを行い、それが認められれば財産分与が行われます。

 

国庫に帰属される

「相続人不存在」としての手続きが終わったら、相続財産管理人に対する報酬付与の申立てを行い、家庭裁判所が決めた報酬が支払われます。
それでも財産が残る場合には、相続財産清算人は国庫に帰属させる手続きを行い、最終的に国庫に帰属される流れとなります。
法定相続人が相続した場合や特別縁故者が財産を受け継いだ場合は、相続税が課税されますが、国庫に帰属される場合には、国が相続税の納税義務者となることはないため相続税は課税されません。

 

申し立てがない場合、放置されることも

相続人が以内空き家は、相続人不存在として処理して、最終的に国庫に寄贈される流れとなります。その際には、先述したようにはじめに「相続財産管理人選定の申し立て」をする必要があります。
しかし、財産に利害関係にある人がいない場合、「相続財産管理人選定の申し立て」がされず、空き家とその土地はそのまま放置されてしまうこともあります。
家や土地は、これまでの相続時に登記などをしていないことも多く、所有者が不明となっているケースも少なくないため、それに対処するためには所有者が亡くなる前にしっかり準備する必要があるでしょう。

 

空き家を相続する際の注意点

両親などが亡くなってしまい、空き家を相続するケースもあるでしょう。空き家を相続する際には、以下のような注意点があるので、しっかりと把握しておきましょう。

  • 放置していると「特定空き家」になる可能性
  • 相続財産管理人選任の際に「予納金」を支払うことも

 

放置していると「特定空き家」になる可能性

使い道がない・遠方でなかなか足を運ぶことができないなどの理由で、空き家を放置してしまうケースも少なくありません。しかし、空き家を放置していると、空き家はどんどん劣化し老朽化してしまいます。倒壊や衛生上有害となるなどの危険性のある空き家は「特定空き家」に指定される恐れがあります。
特定空き家に指定されてしまうと、「固定資産税等の住宅用地特例」が適用されず固定資産税が上がってしまうだけでなく、最大50万円の過料が科されることもあるので、注意が必要です。

 

相続財産管理人選任の際に「予納金」を支払うことも

相続放棄によって「相続人不存在」として処理する場合、家庭裁判所に「相続財産管理人選定の申し立て」を行います。相続財産管理人の報酬は、財産から差し引かれるのが一般的です。
しかし、財産が少ない場合、報酬を財産から支払うことができないので、相続財産管理人選任の申し立てを行った人が「予納金」を支払うことになります。

予納金は家庭裁判所が決定しますが、相場としては10~100万円程度です。相続財産管理人の業務が終わった後に、予納金が余っている場合には、余剰分は返還されます。

 

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相続人がいない空き家は国庫に帰属!空き家があるなら活用しよう

マイナスの財産が多い場合など相続を放棄する人も多いでしょう。相続人がいない空き家は、最終的に国庫に帰属されます。国庫に帰属されるためには「相続人不存在」として処理をしなければなりません。
相続財産管理人選任の際に予納金が必要になってしまう可能性もありますので、空き家を相続するか迷っているなら空き家を活用することを考えてみてはいかがでしょうか。
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